LEATHER MATERIAL

革製品に使用される革の種類は牛、豚、馬など様々で、その加工方法によってさらに多くの種類が存在します。
ここでは、革の種類や特徴をご紹介します。

 
 

皮と革の違いについて

「皮」と「革」は読み方は同じですが、意味が違います。

「皮」とは、動物の体から剥いだままの生の皮の状態を表しています。当然「皮」は自然素材のため、剥いだままにしておくと腐り劣化してしまいます。そこで、皮が腐らないように「鞣し(なめし)」加工を施し、素材として使える状態にしたものを、「革」と呼びます。業界では総称して「皮革(ひかく)」と呼んでいます。

革の流通について

革製品として広く流通している、牛・豚・山羊・羊・馬の多くは家畜として飼育され、
食肉用の副産物として皮を利用しています。

食肉用の副産物以外にも、一部では病死、自然死で亡くなった動物も利用しています。その他の動物のほとんどは野生動物ですが、ワシントン条約により使用が制限されています。日本は皮革の多くを海外からの輸入に頼っていますが、豚革に関しては100%自給自足が可能です。

 
 

革の長所と短所

「長所」と「短所」のすみ分けは用途によって変わってきますが、一般的に言われている基準です。


・しなやかな質感、柔軟性、しっとりとした触り心地
・高級感
・保湿性、温かみ
・伸縮性、適度な弾力性
・吸湿性、通気性


・品質、形状が一定でない
・皮の部位により性質が異なる
・水に弱い(シミや型崩れになりやすい)
・熱に弱い

鞣し(なめし)について

動物の皮は、柔軟性があり非常に丈夫ですが、そのままではすぐに腐ったり、乾燥して固くなってしまいます。

このような欠点を補うために、「皮」のコラーゲン繊維に、なめし剤を結合させ、耐久性、可塑性を与え、素材として使える「革」に変化させることを「鞣し(なめし)」と言います。鞣した後は仕上げ加工を施し、色々な種類の革になります。

鞣しの種類は大きく分けて2種類あります。


自然な風合いのベジタブルタンニン鞣し

古くから行われている、植物の渋(タンニン)を利用したなめし方法。濃度の異なるタンニン槽に順番に漬け込んでいく製法のため、時間と手間がかかります。ベジタブルタンニン鞣しを施し、その他の加工を行わない革を「ヌメ革」と呼びます。

・使い込むほどに色つやが増す(エイジングが楽しめる)
・硬さがあり丈夫
・植物性の材料を使用しているので、環境に優しい
・染色しやすい
・吸湿性に富む


低コストで柔らかく頑丈なクロム鞣し

クロム化合物という化学薬品を用いて行う、鞣し方です。タンニン鞣しに比べ、時間と手間がかからないため低コスト。現在流通している革の大半を占めています。しかし環境の面からみると、クロム排水や焼却時の有害物質を発生させるなど、環境に対する影響が懸念されています。

・伸縮性と柔軟性に優れている
・水をはじきやすい(吸水性が低い)
・発色が良い
・熱に強い

革の種類について

用途に適した様々な革が、革製品に使われています。
革の種類や特徴を知ることにより、長く深く革製品と付き合っていけます。

【牛革】

最も供給量が多い牛革

牛の皮は毛が均一に生えているため、キメが細かく滑らかな銀面です。一般的に「牛革」と呼ばれている革は、生後2年以上の成牛革です。高品質、供給量の多さで様々な用途に使用できる牛革は特に人気があります。

牛革は、牛の成長具合によって呼び方が変わります。

・カーフ(生後 6か月以内)
・キップ(生後 6か月~2年以内)
・ステア(生後 3~6か月以内に去勢した雄)
・カウ(生後 2年以上の子供を産んだ雌)
・ブル(生後 3年以上)


カーフスキンは生後6か月以内の子牛革

キップスキンより薄くて軽い。銀面のキメが非常に細かく滑らかです。牛革の中では最高級品です。


キップスキンは生後6か月~2年以内の中牛革

キメが細かく滑らかなで、キズも少ない美しい銀面です。薄くて軽い柔らかな革ですが、カーフスキンよりは厚く丈夫。上品な質感は人気があります。


ステアハイドは特に生産量が多い成牛革

生後3~6か月以内に去勢したオスの成牛革のことを呼びます。去勢し気性が穏やかでケンカなどによるキズも少ない。厚みがあり丈夫です。キメも細かくブル・ハイドより薄くて柔らかいです。


カウハイドは一般的に出産経験のある生後約2年のメス牛

キメの細かさはやや粗く、カーフやキップには劣るものの、ステアよりは細かく滑らかです。厚みはある革ですが、ステアよりは薄いです。


ブルハイドは生後3年以上のオスの成牛

オスの成牛は気性が荒くケンカによるキズも比較的多いです。丈夫で非常に厚い革は、主に靴の底革など強度を必要とする製品に用いられています。

 
 


ゴートスキンは、独特のシボ模様でソフトな質感ながら丈夫

繊維密度が高く柔らかな触り心地です。銀面には細かなシボ模様があり、牛革と比べ薄くても強度があり、対摩耗性にも優れています。


キッドスキンは生後6か月未満の子山羊の革

ゴートスキンよりキメが細かく柔らかでしっとりした光沢があり、対摩耗性にも優れています。銀面はゴートスキンと同様にシボ模様が特徴的です。

 

羊(成羊)シープスキン

シープスキンは生後1年以上の羊の革。軽くて柔らかく滑らかな肌触りです。保温性にも優れています。

シープの種類には、2種類あります。


温暖な地域で飼われるヘアーシープはウールシープより流通している

乳や肉を目的に飼育されているヘアシープの革は、強度に優れており、靴やスポーツ手袋に用いられています。


主に高緯度の寒冷地域で飼われるウールシープ

白い毛がモコモコのウールシープの革は、軽く柔らかく断熱性があり、ウェアや手袋に用いられます。

羊(子羊)ラムスキン

ラムは生後1年未満の羊の革。

シープスキンと同じく保温性に優れています。生後6か月未満のラムスキンは、ベビー・ラムスキンと呼ばれ
ラムスキンよりキメが細かく滑らかな質感です。希少なため最高級品です。

 
 

鹿 ディアスキン

しっとりとして滑らかな柔らかい革

柔らかくてしなやかな革、鹿革は軽いながらも丈夫です。通気性と保温性にも優れています。鹿革の銀面を落として油で鞣したものは「セーム革」といい、非常に柔らかく高い吸収性があり濡れた後も型くずれしにくい革です。

 
 
 

馬 ホースハイド

成牛革よりも柔らかく銀面が滑らかな革

尻部をタンニンで鞣し染色した革が「コードバン」と呼ばれ高級品です。緻密な繊維構造でキメが細かくしなやかで、美しい光沢のある銀面が特徴的です。

 
 
 

豚 ピッグスキン

国内で100%自給自足できる唯一の革

毛が3本ずつまとまって生えているため、通気性に優れ銀面には毛穴によるデコボコ模様があります。薄くて軽く摩擦にも強く、耐久性があります。